2025年の北アルプス縦走登山は、新穂高温泉~双六岳~西鎌尾根~槍ヶ岳~上高地と歩いてきました。前回は新穂高温泉から双六岳まででしたが、今回は双六小屋から西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳に登頂するまでの様子をお届けします。西鎌尾根は思ったよりも歩きやすく、眺望のきく尾根歩きを楽しめます。槍ヶ岳には午前中に登頂できたので、山頂からの絶景を満喫できました。
新穂高温泉~双六岳~双六小屋の様子は、前回の記事をご覧ください。

【西鎌尾根】槍ヶ岳を目指して歩く絶景ルート!
2日目は双六小屋を午前5時半頃に出発。すぐ隣にある樅沢岳に登ると、槍ヶ岳へと続く西鎌尾根の全貌が見えてきます。多少のアップダウンはありつつも、槍ヶ岳手前までは絶景を眺めながら歩ける素晴らしい尾根道が続きます。
早朝に双六小屋を出発して樅沢岳へ
2日目は、朝食を済ませて午前5時半に出発。今朝も良いお天気ですが、お昼過ぎから雷雨予報なので、早めに槍ヶ岳に到着したいところです。
双六小屋は、さまざまな登山ルートの分岐点にあるため、みなさんいろいろな方向へ出発していきます。
私は西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳に向かいます。まず、双六小屋のすぐ東側にある樅沢岳に登ります。昨日、登った双六岳とは、双六小屋を挟んで反対側になります。
双六小屋からは標高を200メートルほど上げていきます。最初の斜面は急そうに見えましたが、登山道がつづら折りに付けられているため、比較的歩きやすいです。朝の柔らかい日差しの中、ゆっくりと登っていきます。
登山道脇には高山植物が咲いています。これはイワギキョウかな?
岩陰にはイワツメクサが咲いていました。
上り始めから約30分で山頂が見えてきました。もう少し!
樅沢岳山頂から西鎌尾根を一望!
午前6時過ぎに、樅沢岳に登頂! 標高は2,755メートル。
登ってきた方向(北西側)を振り返ると、見事な絶景! 昨日登ってきた双六岳から、三股蓮華岳、鷲羽岳など名峰がずらりと並んでいます。朝の澄んだ空気もあいまって、見事な眺望です。
樅沢岳の東側にも山頂を示す標識がありました。
ここまでやってきて、初めて今日歩く西鎌尾根の全貌を眺めることができました。手前から奥に延びる尾根が西鎌尾根で、最後は一気に標高を上げて槍ヶ岳へと達しています。これからこの稜線を歩くと思うとワクワクしますね。
高山植物を眺めながら硫黄乗越へ
この時期、登山道脇にはたくさんのお花が咲いています。トリカブトとオタカラコウかな?
山頂からは、東西に長い樅沢岳の稜線の南側をトラバースする形で少しずつ下っていきます。風はあまりないのですが、日陰に入ると涼しいですね。
イワギキョウの群生。
ウスユキソウかな?
トラバースを終えて、少し登り返すと、西鎌尾根の稜線へ。この先にみえる鞍部が「硫黄乗越」です。正面に槍ヶ岳を眺めながら歩ける、素晴らしいルートですね。
西鎌尾根、絶景の稜線歩き!
いよいよ絶景を眺めながらの稜線歩きです。多少のアップダウンはあるものの、槍ヶ岳への本格的な登りがはじまる左俣乗越までは、快適な稜線歩きが続きます。
日当たりの良い稜線は高山植物の宝庫! 稜線上なので大きなお花畑はありませんが、あちこちに高山植物が咲いています。これはシナノキンバイの群生。
見事な稜線です。まさに槍ヶ岳に向かって進んでいる感じがして、とても良いですね。絶景に高山植物にと、歩いていてとても楽しいルートです。
進行方向右側(西側)には、日本百名山の一つ、笠ヶ岳がしっかりと見えています。中腹には、昨日立ち寄った鏡池や鏡池山荘が見えていますね。昨日、鏡平から眺めた西鎌尾根を、いま、歩いているということです。
午前7時過ぎ、稜線上にある小ピーク「左俣岳」に到着! 槍ヶ岳がだいぶ近づいてきましたね。
左俣岳から少し下ったところが「左俣乗越」です。広場になっているので、ここで休憩していきましょう。この先は、だんだん険しい登りになりそうですので……。
槍ヶ岳に向けて険しい登りに!
左俣乗越を過ぎると、快適な稜線歩きはそろそろ終わりで、槍ヶ岳への本格的な上りとなります。左俣岳の標高が2,674メートル、槍ヶ岳が3,180メートルですから、標高差は500メートル以上! ちょっとした低山一つをこれから登るのと同じくらいの登りが待っているというわけです。
登山道にわずかに雪が残っていましたが、特に滑り止めは不要でした。ただ、この雪渓の前後のトラバースする道は、かなり狭く、斜面も急なので、少し気を使いました。
青色が鮮やかなミヤマリンドウ。雪が融けて、今がまさに高山植物の最盛期なのですね。
だんだんと険しい道になってきました。それほど危険は感じませんでしたが、ザレ気味のところも多いので、慎重に登っていきます。
鎖場もいくつかあります。ただ、足場がしっかりしているので、特に難しいと感じるところはありませんでした。それでも、鎖がかかっているようなところは、必然的に「急登」になるのでキツいです。
千丈乗越(千丈沢乗越)に到着。新穂高温泉方面からの道と合流します。標高は2,734メートル。鎖場をいくつかこなしたにも関わらず、左俣乗越からまだ100メートルくらいしか標高が上がっていませんね……。
一気に標高を上げて槍ヶ岳山荘に到着!
千丈乗越から先は、あまり難しいところはありませんが、急登が続きます。直登ではなく、つづら折りになっているところが多いですが、それでもかなり傾斜は急です。ザレ気味のところもあるので、足元には少し気を使います。最後の頑張りどころですね。
日差しが強くなってきて、かなり暑くなってきました。数少ない日陰は涼しいですが、落石には注意です。登山道脇には白ペンキで〇印や「槍」とかかれていて、道迷いの心配はなさそうです。
最後のひと登り! 標高が3000メートルを超えて、すぐに息が上がってしまいます。少し登って、少し足を止めて……を繰り返してゆっくりと登っていきます。
息を整えつつ振り返って見ると、素晴らしい眺望です。左側に笠ヶ岳、中央にわずかにみえる赤い屋根が鏡平小屋。手前から右上に延びているのが、ここまで歩いてきた西鎌尾根です。
槍ヶ岳の山頂も間近に見えてきました。左側の小さいのは小槍です。「アルプス一万尺」に出てくる小槍ですね。
午前9時半頃、双六小屋から約4時間で、槍ヶ岳山荘に到着しました。少し休憩しつつ、槍の穂先にアタックする準備をします。アタックザックに必要なものだけを詰め、大型ザックはデポさせてもらいます。
【槍ヶ岳】360度の大展望! 槍ヶ岳に登頂!
いよいよ槍ヶ岳にアタック! 午前10時前後は空いていて、ほとんど渋滞することもなく、15分ほどで登ることができました。山頂からの絶景は見事! 山頂も空いていたので、ゆっくり眺望を楽しむことができました。
槍ヶ岳山頂にアタック!
真下までやってくると、壁のような槍の穂先にアタックしていきます。
上りと下りで道が分かれています。上りは槍ヶ岳に向かって左側へ。岩のペイントを見落とさないように注意しましょう。下っているときに、間違って下りルートから上ってきてしまった方がいましたので。
あっという間に山頂直下の長いハシゴまでたどり着きました。山頂へは長めのハシゴを2つ上ります。
記念撮影をして山頂からの絶景を満喫!
槍ヶ岳の山頂で記念撮影! お昼ごろから雷雨の予報でしたが、この時間(10時頃)は青空が広がっていて気持ちの良いお天気でした。
山頂から南側、常念山脈方面の景色。手前右側から左奥へ延びるのが東鎌尾根、その奥が常念山脈。右側のきれいな三角形をした常念岳をはじめ、大天井岳、燕岳などの名峰がきれいに見えていました。
以前、燕岳から常念岳を超えて蝶ヶ岳まで、いわゆる「パノラマ銀座」を歩いたことはありますが、今度は東鎌尾根にも挑戦したいですね。
槍ヶ岳山荘と笠ヶ岳。槍ヶ岳山荘は、標高3000メートル超えの山小屋ですが、規模が大きくて驚きました。奥に見える山が笠ヶ岳。こちらも登ってみたい山のひとつです。
本日歩いてきた西鎌尾根。最後の槍ヶ岳への上りはキツいですが、技術的な難易度は低めで、絶景の稜線歩きを楽しめる、とても良いコースでした。双六小屋を朝早く出ると、午前中に槍ヶ岳に到着でき、まだお天気が崩れる前に登頂できるのも良いですね。
槍ヶ岳から穂高連峰へと続く稜線。3000メートルを超える険しい山々が連なります。右奥には焼岳、さらに奥には乗鞍岳。北穂高岳~槍ヶ岳の間には大キレットがある上級コース。私が歩く機会はあるのでしょうか……。
裏銀座方面の眺め。双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、薬師岳などの名峰がずらり。今回。双六岳までは登りましたが、その先、裏銀座や雲ノ平方面は未踏の地なので、近いうちに歩いてみたいですね。
右奥には、立山も見えていますね。槍ヶ岳の山頂は狭いですが、正真正銘の360度の大展望! 今回は、登ってくる人が少ない時間だったため、山頂でゆっくりすることができました。
午前11時過ぎ、槍の穂先から槍ヶ岳山荘まで下ってきました。下りは別ルートですが、やはり上りよりは気を使いますね。とはいえ、とても良く整備されていますし、距離が短いので、それほど苦労はしませんでした。
以上、『【北アルプス】双六岳・槍ヶ岳縦走2025 (2)西鎌尾根を登って絶景の槍ヶ岳へ!』でした。西鎌尾根の素晴らしい稜線を歩いて槍ヶ岳に登頂、山頂から360度の大パノラマを満喫でき、素晴らしい一日となりました。午前中、しかも比較的空いている時間帯に登頂できたのも良かったですね。
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