三国山から生藤山を経て陣馬山まで、笹尾根を歩いてきました。生藤山の「桜のプロムナード」で満開のソメイヨシノを鑑賞し、生藤山や茅丸山頂から富士山を眺め、そして、眺望が開けた気持ちの良い尾根歩きを楽しめました。歩く人がそれほと多くないエリアですが、好天もあって、期待以上の山行となりました。
生藤山~陣馬山の笹尾根を歩く!
生藤山(しょうとうさん)は、三頭山~高尾山と続く笹尾根にある小ピークです。山頂は狭く、富士山以外の眺望もそこまで優れているわけではありませんが、この時期は、登山口までの里山や中腹にある「桜のプロムナード」で桜を楽しむことができます。
そして、生藤山から、茅丸、連行峰、醍醐丸へと続く笹尾根の縦走路が楽しい! 特に、標高1,000メートル前後を歩く三国山~生藤山~茅丸あたりは、樹木の間から眺望があり、お天気が良ければ富士山を眺めながら歩くことができます。ピークの前後以外はアップダウンも多くなく、気持ちよく歩けます。
途中、桜だけでなく、笹尾根の縦走路ではツツジも咲き始めていました。登山道脇には小さなスミレも咲いていて、春を感じることのできるハイキングでした。
今回のコースは以下のとおりです。
藤野駅から和田行きのバスに乗車し、「鎌沢入口」バス停で下車。ここから登山口まで車道を歩き、登山口から「桜のプロムナード」を経由して、笹尾根に上がります。笹尾根に上がったところが三国山です。
三国山からは笹尾根を縦走。生藤山、茅丸、連行峰、大蔵里山、醍醐丸と小ピークを通過していきます。
醍醐丸からは和田峠へ下ります。ここで終わりにしても良いのですが、和田峠から陣馬山へはわずか30分ほどですので、陣馬山に登って、そこでお昼休憩にしました。下山は和田バス停へ。地図で見ると、ぐるっと一周するようなコースです。
主な行程は以下のとおりです。
- 07:50 鎌沢入口バス停 出発
- 08:30 三国山・生藤山登山口
- 08:40 桜のプロムナード 到着
- 08:50 桜のプロムナード 出発
- 09:25 三国山 到着
- 09:45 三国山 出発
- 09:55 生藤山
- 10:10 茅丸
- 10:30 連行峰(連行山)
- 10:55 大蔵里山
- 11:05 大蔵里山(東峰)
- 11:20 醍醐丸
- 11:40 高岩山
- 11:55 和田峠
- 12:20 陣馬山 到着
- 13:25 陣馬山 出発
- 14:20 和田バス停 下山
距離13.6km、累積標高(上り)1,216メートルでした。日帰り登山のコースとしては、ほどよい距離とコースタイムだと思います。
生藤山登山口への公共交通機関でのアクセス
生藤山や今回歩いてきた笹尾根の小ピーク(生藤山、茅丸、連行峰、大蔵里山、醍醐丸など)への公共交通機関でのアクセス方法を紹介します。
生藤山に最もアクセスしやすいのが、今回利用した中央本線藤野駅からのバス利用です。生藤山の中腹にある「桜のプロムナード」を見るなら、この登山口から登りましょう。
- 鎌沢入口バス停(三国山・生藤山登山口)へのアクセス
- 中央本線 藤野駅から神奈川中央交通バス「和田行き」で12分
- 鎌沢入口バス停から登山口までは細い車道を歩いて40~50分ほど
バス停から登山口までは少し距離があります。車道ですがかなり登りますので、里山の風景を眺めながら、ゆっくりめに歩くと良いです。
連行峰に秋川側から登るには、武蔵五日市駅から路線バスで柏木野バス停へアクセスする方法もあります。
- 柏木野バス停へのアクセス
- 五日市線 武蔵五日市駅から西東京バス「数馬行き」で約40分
柏木野バス停から連行峰までのコースタイム(登り)は約3時間と長いです。生藤山や三国山がメインであれば、前述の鎌沢入口バス停のほうがおすすめです。秋川側に下りたい場合に利用するのはありかと思います。
連行峰~大蔵里山の間にある分岐や、和田峠の少し手前の醍醐峠から「和田バス停」に下ることもできます。和田峠や陣馬山まで歩くと少し長いという場合には、和田バス停へエスケープできます。
- 和田バス停へのアクセス
- 中央本線 藤野駅から神奈川中央交通バス「和田行き」で15分
和田峠から徒歩でアクセスできるバス停が陣馬高原下バス停です。高尾駅から路線バスで約40分です。
- 陣馬高原下バス停(陣馬新道登山口)へのアクセス
- 中央線/京王線 高尾駅から西東京バス「陣馬高原下」行きで約40分
- 陣馬高原下バス停~陣馬新道登山口は約25分、陣馬新道登山口~和田峠は約1時間
路線バスの時刻表については、各社のWebサイトをご確認ください。
神奈川中央バスのWebサイトは以下です。
西東京バスのWebサイトは以下です。
【鎌沢入口バス停~登山口】里山の素朴な風景と桜を眺めながら登山口へ
午前8時前に鎌沢入口バス停をスタート。登山口までは40分ほど、車道を登っていきます。かなり傾斜が急なところもありますが、春が訪れた里山の風景を眺めながら歩くと、あっという間でした。
鎌沢入口バス停から出発!
藤野駅から乗車した和田行きのバスを鎌沢入口バス停で下車。軽く支度を整えて、午前8時前に出発します。鎌沢入口バス停にはトイレがないので、藤野駅で済ませてきた方が良いでしょう。
バス停のすぐ先の道を左側へ降りていきます。バスが和田バス停へ向けて走っていった車道との間に1本だけある桜がきれいに咲いていました。
車道はすぐに登りになります。車1台がようやく走れるような幅の車道で、かなり傾斜が急なところもあります。車道の脇にはところどころに桜の木があり、散り始めていましたが、まだ花もたくさん残っています。ウォーミングアップがてら、ゆっくりと登っていきます。
いかにも里山という感じの風景です。沢井川の支流がつくる谷が深く、ほとんど平地はありません。山の斜面に茶畑があり、わずかな平地に民家が建っています。
集落の中の急坂を登っていくと、鳥居が見えました。熊野神社という神社があるようです。ここまでくれば、バス停から登山口までの3分の2くらいといったところでしょうか。
熊野神社の少し上にある集落は、桜が多く咲いていてとてもきれいでした。車道歩きが長いと退屈するものですが、この時期は桜が咲いていますし、里山の春の美しさも感じられて、あっという間でした。
鎌沢休憩所に立ち寄って登山口へ
集落へ上る道を歩いていくと、「鎌沢休憩所(トイレ有)」の道標がありました。車道から茶畑の脇を通る道へ入って少し登ると休憩所があります。ここの風景も素晴らしいですね。
「県立 鎌沢休憩所」の大きな看板と東屋、それにトイレがあります。
本格的な登山はこれからですが、バス停からここまで、標高差で240メートル近くも登ってきていますので、少し休憩をしていくことにしました。すでにうっすらと汗をかいています。
鎌沢休憩所のトイレです。ここでトイレをお借りしました。この先、和田峠までトイレはありません。
民家の間を通る道を登っていくと、登山口がありました。ツツジや桜が咲いていて、里山にも例年よりかなり早いと思われる春がやってきていました。
桜はともかく、ツツジもかなり咲いていたのにはびっくりです。春爛漫といった感じの登山口を入って、ようやく本格的な登山が始まります。
【三国山】桜のプロムナードを経て笹尾根上の三国山へ
登山口から中腹にある「桜のプロムナード」を通って三国山へと登っていきます。登山道は比較的緩やかな登りが続き、急登はほとんどありません。とても歩きやすい道で、あっというまに三国山に到着しました。
車道より緩やかな登りの登山道
登山口に入ると山道になりますが、傾斜は比較的緩やかです。登山口までの車道のほうが急だったくらいです。ここまでの車道歩きで体も温まっているので、快適に歩き始められます。
開けたところからは周囲の山並みが見えます。登山道脇の低木は、すでにかなり芽吹いていますね。これから1ヶ月くらいで、冬の枯れ山から新緑の山へと移り変わっていくのでしょう。
山の斜面をジグザグに登っていくと、前方が明るくなってきました。このあたりは植林帯ではないようで、落葉した木々の間から日の光がふんだんに差し込んでいます。
桜と富士山の絶景!「桜のプロムナード」
あっというまに「桜のプロムナード」に到着しました。桜の木が登山道の南側に何本か植わっています。麓の集落ではもう終わりかけの桜でしたが、ここは標高がやや高いせいか、ちょうど満開!
「桜のプロムナード」の桜です。以前はもっと素晴らしい桜を見ることができたそうですが、テングス病に侵されてしまい、花が疎らにしか咲かなくなってしまったとのこと。テングス病に侵されてしまったら、その枝から先を切り落とすしかないようです。現在は、菌に強い山桜を補植して再生を試みているそうです。
疎らといえばそうかもしれませんが、それでも十分に見ごたえのある桜でした。
「桜のプロムナード」は、桜の木がある南側が開けていて、富士山もバッチリ見ることができます。4月上旬の比較的気温の高い日だったにもかかわらず、空気が澄んでいて、富士山をくっきりと拝むことができました。この先も、富士山を眺めながらの登山が続きます。
桜のプロムナードの先には鳥居があり、その鳥居の向こうには「軍刀利神社」(ぐんだりじんじゃ)の祠があります。軍刀利神社は「日本武尊」を御祭神とする神社です。ここにあるのは祠だけで、本社はこれから登る登山道の西側、上野原市側の麓にあるようです。
緩やかな登りで水が枯れていた「甘草水」へ
軍刀利神社の祠から先も、緩やかで歩きやすい道が続きます。鎌沢入口バス停と、最初のピークとなる三国山(960メートル)の標高差は600メートル以上とそこそこあるのですが、これで本当に登っているのか心配になるくらいです。
登山道脇に日当たりの良いところには、スミレがあちこちに咲いています。下を見ていないと見落としてしまうくらい小さいですが、樹林帯で眺望のないところでも見どころはあるものです。
「佐野川峠」に到着。上野原市側から登ってくる道と合流します。相変わらず緩い登りが続きます。
三国山まで0.7kmのところまで登ってきました。ここには「甘草水」という水場があります。三国山へ続く登山道から少し外れていますが、「甘草水」100メートルとのことだったので、寄ってみることにします。登山道は上の写真の左側へ通っていますが、甘草水へは右側を入っていきます。
すぐに水場らしきところに到着しましたが、水は枯れてしまっていました。いつも枯れているのか、季節柄、枯れているのかわかりません。
「甘草水」は、日本武尊が東征するときに水がなくなり困っていたところ、尊が鉾で岩を打つと水が湧き出てきたという伝承があるそうです。
登山道まで戻ってきました。甘草水への分岐にはベンチがあり、休憩できるようになっています。が、山頂まではもう少しなので、先を急ぐことにします。
三都県境のピーク「三国山」に到着!
甘草水から先は、やや傾斜が急になりますが、それでも急登とはほど遠い、歩きやすい道です。ところどころ、笹が登山道まで張り出しているところもありますが、歩きにくいというほどではありません。
次第に周囲が明るくなってきました。山頂まではもう少しかな? と思っていたら……
あっけなく三国山の山頂に到着してしまいました。それほど急いで歩いたわけでもありませんが、バス停から1時間半ちょっと、登山口から1時間弱でした。
テーブルやベンチがある三国山山頂で小休止
三国山は笹尾根上にあり、熊倉山・浅間峠へ向かうと三頭山へ、生藤山・醍醐丸へ向かうと陣馬山・高尾山へと続いています。今回は、生藤山・醍醐丸のほうへ向かいます。
三国山は東京(武蔵)、神奈川(相模)、山梨(甲斐)の三都県境が交わる場所にあります。全国に「三国山」はたくさんありますが、ここもそのうちの一つですね。そういえば、昨年の冬には、山中湖の南岸にある「三国山」に登りましたが、神奈川、静岡、山梨の三県境の山でした。
三国山山頂には休憩に良さそうなテーブルやベンチがあるので、少し休憩していきます。
樹木に遮られて良く見えませんが、白く雪をたたえた富士山や南アルプスが見えます。葉が落ちている時期なのでかろうじてわかりますが、葉が出てきたら全く見えなくなりそうです。
年配の男性2名が休憩していましたが、先に出発していったので、山頂を独占です。テーブルに陣取って、コーヒーを入れて一休み。
4月上旬にしては気温が高めなので少し汗をかきましたが、登りがずっと緩やかだったので、思ったほどではありませんでした。ひんやりとした風が吹き抜ける山頂は心地が良いですね。
三国山の山頂の様子です。この先の生藤山や茅丸などの山頂は狭いので、休憩するなら三国山がおすすめです。さすがにお昼には早かったので、お昼休憩は陣馬山の山頂にすることにしました。
【生藤山~醍醐丸】富士山を眺めながら気持ちの良い尾根歩き!
三国山からは、笹尾根の尾根歩きとなります。生藤山、茅丸は山頂からの富士山の眺めがとても良いですし、連行峰あたりまでは、富士山や周辺の山々を眺めながら歩くことができ、とても気持ちの良い縦走路になっています。
ぎりぎり富士山が見える生藤山
三国山からいったん下ります。が、上から、下り切ったあとの道が見えるくらいなので、たいした下りではありません。
生藤山の山頂直下の分岐です。巻道がありますが、もちろんピークハントをしていきます。
この先も尾根上のピークを巻く巻道が整備されていますので、途中で疲れてしまったら巻道を通るのもありです。ただし、生藤山と茅丸は眺望が良いので、できれば登ることをおすすめします。
生藤山への登りは、岩が多めの急登でした。危険を感じるほどではありませんが、ここまでの緩やかな登山道と比べると、際立っています。ただ、それも長くは続かず、5分とかからず山頂に到着します。
ということで、三国山からわずか5分で生藤山に到着です。もっとも、200メートルしか離れていないのですが……。
三国山では樹木に遮られていた富士山ですが、生藤山の山頂からは、ぎりぎり樹木の枝の上に見えました。ただ、もっと枝が伸びてきたら、隠されてしまいそうですね……。
生藤山の山頂の様子です。三国山と比べると狭いですが、ベンチはいくつかありました。
「生藤山」(しょうとうさん)というのは良い山名ですね。帰宅後に調べてみると、昔は国境の木を伐らないという決まりがあり、武蔵・相模の国境にあるこの山は「切り止め山」と呼ばれていたそうです。これが「きっと山」→「生藤山」と呼ぶようになったという由来があるそうです。
先ほど三国山で休憩したばかりなので、景色を眺めて、写真を撮ったら、すぐに先へ進みます。
富士山の絶景スポット! 茅丸
生藤山から先は、尾根らしい道がしばらく続きます。岩や石が多めで、やや道も狭くなります。
生藤山からの下りはかなり急です。今回のコースで気をつけるところがあるとすれば、間違いなくここでしょう。特別な技術が必要なほどではありませんが、滑って転ばないように慎重に下ります。
尾根道からは右側に富士山が見えています。樹木があるのですっきりと見えるところは多くないですが、それでも樹木越しにずっと見えています。
富士山と反対側、左手には奥多摩の山々。右側の大岳山の独特の山容は目立ちます。左側の山は御前山かな?
しばらくはこんな景色を眺めながらの山歩きが楽しめます。
次のピーク「茅丸」(かやまる)への登りです。ここも巻道がありますが、茅丸山頂からの景色は素晴らしいので、巻かずに登ることをおすすめします。階段が整備されていて登りやすいですし。
茅丸の山頂近くではアセビの花がたくさん咲いていました。
茅丸山頂に到着です! 本日のルート上の最高峰で標高は1,019メートル。山頂からは南~西側が開けています。
茅丸山頂からの富士山の眺めは見事! 遮るものがなく、雪をたたえた富士山をしっかりと見ることができます。それにしても、空気が澄んでいること! 4月ということで眺望はあまり期待していなかったのですが、うれしい誤算でした。
南側には丹沢の山並みを一望! 右側(西側)から、大室山、檜洞丸、蛭ヶ岳~丹沢山と続く丹沢主脈、そして左側(東側)の大山まで、丹沢の名峰がずらりと並びます。
茅丸山頂の様子です。ここの山頂も狭いですが、ベンチがあります。ただ、長時間休憩するような感じではないので、景色を堪能したら次へ進みましょう。
連行峰を超えて標高1000メートルの尾根歩き!
茅丸山頂から階段を下ると、巻道と合流します。ここから先も、素敵な尾根歩きが続きます。
生藤山から次のピークの連行峰までは、おおむね標高1000メートル前後の尾根道が続いていますが、このあたりでも登山道脇の低木は芽吹き始めていました。
しばらく尾根道を歩いていくと、木の階段の登りへ。やや長いですが、傾斜はそれほど急ではありません。一段一段がやや大きくはありますが。
木の階段を登りきると、そこが「連行峰」(標高1,016メートル)です。東側の樹木のあいまから周囲の山々が少し見えますが、それ以外は眺望はありません。この写真のように、ベンチがありました。
「連行峰」は「連行山」とも呼ばれているようで、この道標は「連行山」となっていました。
ここは、尾根道から柏木野バス停へと下る分岐になっています。柏木野バス停は秋川沿いにあるバス停です。秋川側へ下るのであれば、ここから降りることができますが、5.0kmとあるのでかなり長い道のりですね。
連行峰を過ぎても、眺望の良い尾根歩きはしばらく続きます。南側が開けたところからは、素晴らしい富士山を望むことができます。この眺望の良さは、奥高尾縦走路にはないメリットですね。
すれ違う人がとても少なかったのですが、この尾根を歩かないなんてもったいない! と思えるほど、低山ながら、気持ちの良いコースです。危険箇所もほとんどないので、少し登山に慣れてきたら、初心者の方にもぜひおすすめしたいコースです。
少しずつ標高を下げて八王子市最高峰の醍醐丸へ
快適な尾根歩きもそろそろ終わりに近づいてきました。緩やかな下り坂で徐々に標高を下げていきます。左側は植林帯になってきましたね。
大蔵里山(おおぞうりやま)の近くには、たくさんのツツジが咲いていました。ミツバツツジでしょうか?
まだつぼみもありますが、それでも半分以上は咲いているようでした。ここ以外にも、山の斜面でもあちこちに咲いていました。4月上旬だというのにこの咲き具合。やはり今年の春は異様に暖かいのでしょうね。
少し標高を下げて、大蔵里山の東峰に到着しました。少し手前に「大蔵里山」もあったはずですが、どうやら気がつかないうちに通り過ぎていたようです(笑)
大蔵里山の東峰も全くピークっぽくなく、山頂を示す標識のようなものは、よく探さないと気がつかないところにありました。
大蔵里山の東峰から少し下り、木の階段で登り返すと、次のピーク「醍醐丸」に到着です。ここもおよそ山頂らしくないピークですが、ベンチと山頂標柱があるのでそれとわかります。
醍醐丸の標高は867メートルで、八王子市の最高峰です。八王子市といえば高尾山が有名ですが、標高600メートルそこそこの高尾山に比べれば、この醍醐丸は250メートル以上も高いのですから、地味な山頂とはいえ最高峰なのです。
【和田峠~陣馬山】和田峠へ下って陣馬山へ登り返し、広い山頂でお昼休憩
尾根歩きは醍醐丸でいったん終わり、和田峠へ下ります。和田峠からは陣馬山に登り返して、広々とした山頂でお昼にします。陣馬山からは和田バス停へ下ります。
植林帯を和田峠へ下る
醍醐丸からは植林帯の中を下っていきます。階段が整備されていて歩きやすいですが、快適な尾根歩きはここで終了です。眺望は陣馬山の山頂までおあずけ。
醍醐丸から標高で100メートルほど下ると「醍醐峠」に出ます。陣馬山に登らないのであれば、ここから和田バス停へと下ることができます。コースタイムで1時間ちょっとです。
まだ11時半。お昼休憩もとっていないので、和田峠へ下って、陣馬山に登り返すことにします。
登山道脇には、あちこちにスミレが咲いていました。植林帯で眺望が全くないのですが、足元の小さなお花に癒されます。
途中に「高岩山」という山への分岐がありました。登山道脇の木に白いペイントで書かれています。地図を見ると山頂はすぐ近くのようなので、寄ってみることにします。
山頂へは急な斜面を登りますが、わずか2分ほどで到着。特に眺望に優れているわけでもないので、あえて登る必要はないかもしれません……。
登山道に戻り、再び和田峠へ向けて下っていきます。登山道脇のスミレ、本当にあちこちに咲いていますね。他の花が咲く前なので、とても小さな花なのですが、目立ちます。
登山口まで降りてきました。ここから和田峠はすぐです。
和田峠からひたすら階段の直登ルートで陣馬山へ
和田峠に到着しました。和田峠には駐車場があるので車でやってくることはできるのですが、バス停はありません。この道標にあるように、和田バス停までは4.0km、陣馬高原下バス停までは3.7kmと結構な距離があります。
「峠の茶屋」は閉まっていました。土休日しか営業していないようですね。
和田峠にはかわいらしいトイレがあります。鎌沢休憩所からここまでトイレがなかったので、ここでお借りしていきます。トイレの上には、とても背の高い桜の木。散り始めていましたが、まだ花はたくさんついていました。
さて、一休みしたので、本日最後のピークとなる陣馬山に向けて出発しましょう。
峠の茶屋の脇にある立派な木の階段を登る「直登ルート」を選択します。「直登」ではないルートは1.1km、直登ルートは0.7kmとあります。「直登」といっても、基本的に階段が整備されているので、危険なところがあるわけではありません。
最初の階段が終わり、やや平坦な山道になったあとも、すぐに次の階段が出てきます。基本的に階段で標高を上げるタイプの道ですね……。もっとも、階段が整備されているおかげで、和田峠からであればスニーカーでも簡単に陣馬山に登ることができます。
次第に明るく、開放的になってきました。桜の木がお出迎えです。
とても広々とした陣馬山の山頂広場に到着です。この右側にある芝生の広場で休憩したいのですが、まずは山頂を踏んでおきましょう。
陣馬山山頂で富士山を眺めながらお昼休憩
陣馬山の山頂です。おなじみのモニュメントが青空に映えます。今日は本当に良いお天気です。
陣馬山の山頂から北側に見えるこの尾根を歩いてきました。手前に大きく見えるのは連行峰で、生藤山はその奥にちょこっとだけ見えています。そのさらに奥にうっすらと見えるのが三頭山。笹尾根をひたすら歩いていくと、この三頭山まで到達できるのです。
山頂も踏んだので、山頂下の芝生の広場へ。持参したレジャーシートを敷いて休憩します。目の前には富士山がどーんと見えています。その手前には疎らではありますが桜が咲いています。控えめに言っても最高ですね。
お昼ご飯はいつもどおりのカップヌードルです。富士山を眺めながら食べるカップヌードルは最高です。
食後のコーヒーも。この日の陣馬山山頂は風がほとんどなく、日差しがぽかぽかで、眠くなってきます。芝生の広場で休憩されている方は、みな寝転がってお昼寝しています。真似して横になってみましたが、これは気持ちが良い。
結局、1時間以上ものんびりと休憩してしまいました。帰りのバスの時間が迫ってきたので、そろそろ下山しましょう。
和田バス停へ下山
和田バス停へと下ります。陣馬山には何度も登っていますが、和田バス停に下るのは初めてです。山頂からしばらくは階段を下っていきます。
階段が終わると緩やかな下りへ。ここも非常に歩きやすく整備されていますね。
和田への分岐に到着。この手前にも和田へ降りられる分岐がありましたが、どちらを曲がっても良さそうです。特にこだわりはないのですが、YAMAPのルートがこちらになっていたので、ここを下っていきます。
分岐から先も歩きやすい道が続きます。急斜面はあまりなく、傾斜が急にならないように道が付けられています。目の前には、今日歩いてきた尾根が見えています。
こんな感じの道がずっと続きます。陣馬山に初めて登る方は、和田バス停からこの道を登るのが良さそうですね。この感じだと、とても登りやすいと思います。
和田の集落の近くまで下りてくると、墓地があるところで登山道が終わり、アスファルトの道になります。目の前には、いかにも「春の里山」といった景色が広がります。
民家のあいまを縫って下り、車道に出ると、そこに「陣馬山登山口」の立派な石碑がありました。ということで、無事に下山しましたが、バス停までは車道を10分ほど下っていきます。
標高が高いせいか、このあたりはまだ桜が残っていました。春の里山の風景はとても美しいですね。
散りかけてはいますが、道路脇の桜もまだ花が多く残っています。
和田バス停に到着しました。和田バス停は、このカフェや特産品の販売所の建物の横にありますが、残念ながらカフェや販売所はコロナの影響で休業中でした。
トイレや靴を洗うことができる場所があります。トイレをお借りし、バスがやってくるまでの時間で靴を洗いました。
14時51分の藤野駅行きのバスに乗車しました。駅までは15分ほど。ずいぶん山奥に見えますが、駅からは意外と近いのですよね。
高尾山口駅に移動して温泉&ビール
藤野の温泉といえば「藤野やまなみ温泉」なのですが、残念ながら改修工事のために長期休業中です。
仕方がないので、高尾駅で乗り換えて、高尾山口駅へ移動し、駅前の極楽湯に立ち寄りました。
温泉で汗を流したあとは、生ビールと天ざるそばで乾杯!
平日なので空いていると思いきや、かなりの混雑でした。春休みでお子様連れの家族が多かったのと、桜の時期ということもあってか外国からの観光客もかなり多かったです。まあ、山が賑わうのは良いことですね。
生藤山~陣馬山は眺望の良い快適な尾根歩きが魅力! 初心者にもおすすめ!
ということで、三国山から生藤山、茅丸、連行峰、醍醐丸等を経由して陣馬山まで歩いてきました。
麓と「桜のプロムナード」の桜が美しいということでこの時期を選んで歩いてみたのですが、桜はもちろんのこと、生藤山から連行峰あたりまでの尾根歩きがとても良かったです。
低山ですので樹木が全くないわけではありませんが、それでも尾根道からはあちこちで富士山を眺めながら歩くことができます。いったん尾根に上がってしまえばアップダウンは少なく、気持ちよく歩くことができるコースです。
生藤山前後のわずかな急坂さえ気をつければ、それ以外は本当に危険箇所は皆無ですので、登山初心者にもおすすめできるコースです。道標もしっかりしていて、道に迷うこともないでしょう。陣馬山まで登り返すのが大変であれば、尾根の途中や醍醐峠から和田バス停へ直接下ることもできます。
とても良いコースなのに、歩く人はまばらでした。登山口から和田峠まで、すれ違ったのは片手で数えるほど。平日とはいえ、この好天でこれですから、歩く人は少ないのでしょうね。静かな山歩きを楽しみたい方にもおすすめです。
今回の主な登山装備
- メリノウールの長袖アンダーシャツ(モンベル)
- 化繊の長袖シャツ(ワークマン)
- 薄手のソフトシェル(ワークマン)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下 ※利用せず
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- 飲み物(お湯750ml+ペットボトル500ml×2本)
- お昼ご飯(カップヌードル1個)、行動食
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
登山開始から下山まで、行動中はメリノウールの長袖アンダーシャツと化繊の長袖シャツの2枚で十分でした。都心の最高気温は20℃を超えるような日でしたので、もっと汗をかくかと思いましたが、急登が少ない穏やかな道のおかげで、そこまでではありませんでした。
休憩中は薄手のシェルを羽織りましたが、陣馬山山頂では風もなく、日差しがぽかぽかで暑いくらいでした。
以上、「【奥多摩】桜と富士山の絶景を眺めながら生藤山~陣馬山の笹尾根を歩く!」でした。とても気持ちの良い尾根道が続くコースです。生藤山や茅丸、それに尾根道からの眺望もよく、富士山を眺めながら歩けますので、ぜひお天気の良い日を狙って歩いてみてください。
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